第1話 Toulouse

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 現在、十六歳のカシミア。歴代の王たちの平均初婚年齢を考えると、そろそろ結婚相手を探さなければならない年齢だ。アーリング島の男たちは基本的に女島と呼ばれるクボ島の女性と結婚していて、カシミアの母・ブハリもその島にいる。しかし、カシミアにとって、クボ島に結婚したいと思える女性はいなかった(女島で女子が生まれないとなると、本来ならクボ島の人口は減る一方だが、クボ島は世の女性に人気の島で次から次に移住者がやって来るのため、人口過疎に悩むことはない)。  現在、カシミアの他に王室にいるのは側近のムラケイだけ。年齢は二十三歳。身長百九十二センチメートルの、坊主頭で屈強な男だ。カシミアにとっては少し年の離れた兄のような存在でもある。  ムラケイは窓から島の外の様子を見ていた。その途中、異変があったようで、双眼鏡を慌てて持って、覗き込む。
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