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「王子、中央にいるのがヴィニシウスです」
ムラケイがカシミアにこそっと伝えた。
カシミアはヴィニシウスを見る。海賊帽を頭にかぶっていて、コートを肩にかけてあった。腰から下の部分はショートパンツにブーツという組み合わせ。カシミアが想像する女海賊らしい恰好をしている。身長は百七十センチメートルくらいだろう。腕を組んだまま、島民たちを見ていた。
胸より下まで伸びた茶色い髪の毛先は、ウェーブがかかっている。ぱっちりとした大きな目に、厚い唇。丸みをおびた、女性的で愛らしい輪郭。
カシミアは世界のすべてを知っているわけではない。しかし、あれ以上の美人は、この世のどこを探してもいないことを確信する。カシミアはヴィニシウスの美しさに一瞬にして心を奪われた。
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