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「お前たち、なんの用だ? ここは男しか立ち入れない島だぞ」
島の兵士がデッドマウスを囲う。軍用犬も五人を警戒していた。
ヴィニシウスたちは微動だにしない。大勢の男にも物怖じしない態度から、彼女たちが百戦錬磨のつわものであることがうかがえる。
「この島、私にちょうだい。あの城なんか、別荘にいいわね」
ヴィニシウスはストーンズ城を指差す。
「この島はわれわれのものだ! あげるようなものではない!」
兵士のひとりが言う。
「あげないと言うのなら――」
ヴィニシウスは自分の背中から、金でできているであろう細長い棒を抜き取る。カシミアもそれまで気がつかなかったが、その棒がいつでも取り出せるように、ショルダーを肩にぶら下げているようだ。あれが彼女の武器か、とカシミアは思う。棒の長さはヴィニシウスの身長よりやや短いくらいにあった。
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