第3話 Perfect Strangers

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「そこにいる大男がいちばん強そうね。ヴィニ子、手短に倒しちゃったら?」  タキがヴィニシウスに言った。偽物のタキを見た分、彼女は本物のタキで間違いないのだな、とカシミアは目の前のものを信じるのに少し時間がかかる。タキはムラケイを倒せば島を手に入れられると考えているようだ。 「いいえ。この島の人間の中だと、カシミアがいちばん強いわ」  ヴィニシウスはそれだけ言葉を返して、島のだれとも戦おうとしない。自分の強さを愛する女性が認めているという、カシミアはその事実に胸が熱くなる。 「――ヴィニ子」  試しに、タキだけが呼んでいるという愛称で呼んでみた。 「ん? なんか言った?」  ヴィニシウスは眼を飛ばす。ロマンスファンタジーの主人公のような見た目をした彼女でも、鋭い目つきをされるとおそろしい。 「あっ、いや、なんでもない……」  カシミアはこれまでどおりヴィニシウスと呼ぶことにする。
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