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「ハーディ!」  グレイハウンドは主人の危機に、すぐさま反応した。  彼が一鳴きすると、仲間の猟犬は彼の両側を追い抜いて狼に襲いかかる。エイミアブルはエルシーを守るように駆け寄った。 「これは……」  ローレンスは呆然とそれを見た。 「さっきの指笛、このこたちを呼んだのよ!」  エルシーが喜んで言う。  十頭ほどの狼に対して二十頭の猟犬が次々と襲い掛かった。体格では不利でも数は上、しかも訓練されている。狼は苦戦を強いられた。 「ありがたい」  ローレンスはひときわ大きな狼へと駆け寄る。  すでにハーディとコーレイがボス狼と格闘していたが、二頭はローレンスを見てボスからさっと離れる。  ボスはハーディたちと彼を見比べ、ローレンスに対峙した。  なめられてるな。  ローレンスは唇の端を歪め、笑った。  犬二頭より(くみ)しやすしと判断されたわけだ。  その(あなど)り、後悔させてやる。  剣を体に引き寄せて構え、じり、とにじり寄る。  狼が動いた。  ローレンスも駆ける。  剣を狼の首に袈裟懸(けさが)けにふるう。
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