1/11
前へ
/42ページ
次へ

 ハーディたちに案内され、エルシーとローレンスは無事に戻ることができた。  心配した人々に歓声をもって迎えられ、エルシーは心底ほっとした。捜索隊とはどうしてだかすれ違い、出会えなかったらしい。  入れ替わりは当然のようにバレて、エルシーは父である国王にしこたま怒られた。  ただ、エルシーが主導したことだったので公にはされず、リーズ伯爵にお咎めはなかった。  エルシーは自身のお見合いの日まで外出禁止を申し渡され、毎日のように窓辺の張り出した枠に座り、ため息をついた。  その日もまた窓辺に片膝を立てて座り、ため息をついた。 「そこは座るところじゃありませんよ」 「細かいことは気にしないで」 「細かくありません」  メイベルは両手を腰に手を当てて言った。 「まったく、反省してくださいよ」 「してるよ」 「私がとんでもないお転婆だって噂が流れてるんですけど」 「そうなんだ」 「婚約せずにすみましたけど、二度と縁談が来なかったらどうしてくれるんですか!」 「メイベルはちゃんと淑女だもの。誤解だってすぐにわかるわ」 「確かに、私は殿下より淑女ですけど」  否定しないんだな、とエルシーはぼんやり思った。 「ローレンス様が実はイケメンだったって噂ですけど、本当ですか?」 「うん……留学中に痩せたんだって」
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加