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くるっと身を翻し、アルフレッドが下敷きになって芝生の中に倒れる。
「大丈夫!?」
だが、アルフレッドはなにも答えない。瞳は閉じられ、ぴくりとも動かない。
「みんな、お座り!」
騒ぐ犬たちを、エルシーは座らせた。
アルフレッドはまだ動かない。頭を打ったのだろうか。
「すぐにお医者様を!」
「ダメですよ」
起き上がろうとしたエルシーの腕を彼が掴み、引き寄せた。
「こういうときは姫君がキスをして目覚めさせるものです。そのために気絶のふりをしたのに」
「なによそれ! 心配したのに!」
アルフレッドは体をくるっと入れ替え、エルシーを芝生に押し倒した。
「押し倒されるのもいいが、やはり男としては押し倒したいな」
「狼よりあなたのほうが危ないわ」
「心外です」
抗議するエルシーの目に、くすくすと笑うアルフレッドの顔が視界いっぱいにうつる。青空を背に、彼の笑顔がいっそうのことまばゆい。
「愛しています」
彼の言葉に、胸がときめく。
芝生の青い匂いが、よけいに胸をドキドキさせる気がした。
彼の瞳が近付く。
エルシーは目を閉じた。
青空の下、イフェイオンはきらめきを増して咲き誇っていた。
終
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