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「私が身代わりになって、そのお見合いをぶち壊してあげる」
「ええ!?」
メイベルは驚きで目を瞬かせた。
エルシーはハーディの頭を撫でて立ち上がった。
青い空には白い雲が浮かび、ただ悠然と風が流れて行った。
お見合いの前日、エルシーはお忍びでメイベルの館に泊まりに行った。
彼女の両親は恐縮し、下にも置かないもてなしをした。
メイベルの自室で二人きりになると、彼女は不安そうにエルシーを見た。
エルシーは気にした様子もなく、三十センチほどの額に入った肖像画を手にした。
「これはひどい」
餌をつめこんだハムスターのように頬が膨らみ、目も顎も肉で隠れて見えない。顔中に吹き出物があり、茶色の髪はバサバサだった。服はぱつぱつで、指はソーセージのようだ。
彼はランフォード伯爵の息子で、名をローレンス・オブ・キリーリ=ホークといった。年は十九歳だという。
「よくこの絵で良しとしたわね。なんかおかしいわ」
エルシーはじっと絵を見つめる。
「本当にやるんですか?」
不安そうにメイベルが言う。
「大丈夫よ。お見合いでは両親の立ち合いなしで狩りをしたいって言ってくれたのよね?」
「言いました」
「その時点で断られそうなのに、了承されたのよね?」
「そうなんです」
「あとはお見合いで私が暴れればいいだけだわ」
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