1

6/6
前へ
/42ページ
次へ
「でも、バレるんじゃ……」 「大丈夫、金髪に緑の目っていう特徴は同じだもの。もしバレたって私は名にしおうお転婆よ。王女がいたずらしたって思われるだけで、お咎めなんかないわ」  エルシーが自信満々にそう言った。が、メイベルは不安でたまらなかった。  だが、それ以上に不細工との結婚が嫌だった。 「お願いします」  メイベルは深々と頭を下げた。  お見合い当日、メイベルは仮病で寝込んだ。  様子を見に来た両親に、エルシーは言った。 「今日のお見合いは私が身代わりで出席します!」 「え?」  両親は顔をひきつらせた。 「いえ、使いをやって急病を知らせればいいだけなので……」 「遠慮しないで! きちんと私が代役を果たしますから!」  エルシーがあまりに言うので、メイベルの父、リーズ伯爵は断れなくなった。王女殿下に逆らうなど伯爵の分際ではできようもない。  気弱な彼は、結局は申し出を受け入れるのだった。  
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加