神々の誘惑

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 抗がん剤治療のため通っている病院。半日がかりの受診に少し疲労していた。  会計を終えて正面玄関から出た瞬間。 『令草様。お会いできて良かった』 と僕に声をかける者がいる。  振り返ると、いつもSNSで僕を応援して下さるが聡明な瞳で真っ直ぐに僕を見つめていた。 「ぴょんさん、こんなところまで僕をお尋ね下さったのですか?」  ぴょんきち様は、にこやかに微笑んで 『やはり間違いない。来て良かった。間もなく犬神のinuhiko様もご到着なさいます』 と何か納得したように僕の全身を爪の先までマジマジと観察する。 『予想よりお痩せになっておられますね。心配には違いありませんが、大丈夫ですよ。その訳は後ほどお伝え申し上げます』  兎神のぴょんきち様は、それだけ告げると正に脱兎の如くぴょんぴょんと消え去った。
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