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day.8 雷雨
突然の激しい雨に男は車を止めた。
道路の側面は崖で崩れたらと車から出る。脇道を行くと立派な洋館があった。呼び鈴を押すが応答はなく、ドアを押すと簡単に開いた。躊躇するも稲光に押され、雨宿りするだけと男はできた隙間に体を滑り込ませ……彼の体は尖った牙に噛みちぎられた。叫ぶ暇もなかった。
やがて雨はあがり、道路をまた一台の車がやってくる。「誰だ、こんなところに乗り捨てたのは」ドライバーが外に出る。すると彼の頭上にもくもくと黒雲が沸き立ち始め雷鳴が轟く。
数週間後、この道路をパトカーが通りかかった。「まただ。車くらい自分で処分しろ」警官はレッカー車を手配する。行方不明者は見つからない。事件になることもない。
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