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「じゃあ、あとは若いお二人で」
ねえ? と櫂が花実に言う。
「そうねえ。
って、櫂さんも若いじゃないの」
最近、どう? と仕事の話をしながら、二人は行ってしまった。
急に静かになり、綾都は、ふと頭がクリアになったのを感じた。
外を見る。
赤い太鼓橋のかかる美しい庭園が見えた。
心洗われる。
この、一瞬、頭がクリアになったとき、ちゃんと見るべきは、相手の顔で、太鼓橋ではなかったのだが。
まあ、眠いときには、判断能力が欠如するものだ。
綾都の微かに残っていた理性と知能は、美味しい料理とイケメンの見合い相手を前にしても、仕事に全振りされていた。
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