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「お疲れサマンサー」
「……なに、私、今、タイムスリップした?」
いつの時代のギャグ? と同期の安井美鳥が怯える。
「最近、また流行ってるらしいよ」
と言いながら、綾都は美鳥の髪をつついた。
「私は、あんたのそのクラシカルな頭を見る方がタイムスリップした気分になるけど」
美鳥は最近、大正ロマンや昭和レトロにハマっていて。
髪を昔流行っていたラジオ巻きにしている。
耳の辺りで、三つ編みなどにした髪をぐるぐるっと巻いているのだ。
「なによ、似合わない?」
と小柄な美鳥が下から威嚇してくる。
「ううん。
意外にスーツにも合ってて可愛い。
どうなってんの? これ」
と美鳥の髪を間近に眺めていると、
「お疲れサマンサー」
と言いながら、同じく同期の侑矢がやってきた。
「また、タイムスリップした……」
と美鳥が呟く。
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