城での夕食会

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「そうですね。イタリアへはよく訪れますから、まだアンジェラが駆け出しのころから援助をしておりました。ここまでの歌手になるとは思いませんでしたが、元々才能はありましたから努力をしたのでしょう」  アルトワ伯爵は陽気に答える。 「なぜ観客の方たちは劇の最初からご覧になられないのですか? 開演したあとも次々と観客の方々が入ってこられて驚きました」  サンドリーヌは隣のピエールに質問をする。 「ミス・カンブルラン、今の流行なんですよ。遅れて入るほど注目を浴びますからね」  そういった事柄に興味のないピエールには答えられないだろうと配慮をしたアランが、対面の席から代わりに答えた。 「ベルタン侯爵はオペラがお好きですか?」  アルトワ伯爵が上目遣いでアランを見て問うた。 「えぇ。僕の関心は農地経営のことと観劇でいっぱいと申し上げて差し支えないと思います。話題の舞台へはなるべく駆けつけるようにと苦心しているほどです」  アランは朗らかな笑顔を向けて答えた。 「そうですか! それでは来週行われる新作のオペラも?」 「はい、行けたら嬉しいとは思いますが、席が取れるかどうか。再来週あたりになれば僕でも取れるかもしれません」 「では私の桟敷へご招待致しましょう。是非初日にお越しください」  アルトワ伯爵は緊張を含んだ微笑を浮かべた。
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