カンブルラン邸での昼食会

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「嘘をおっしゃらないで! ベルタン侯爵の方ばかりを気にしてらしたじゃない。あ、そうそうサンドリーヌ、あなたベルタン侯爵とお二人でアルトワ伯爵の桟敷にご招待を受けたって本当なの?」  冷製肉を口に運ぼうとしていたサンドリーヌは、突然の問いに驚いて肉を取り落としそうになった。 「えぇ、参りましたけど、でもミス・ヴァロワもシャイン伯爵もご招待を受けていらっしゃいました」 「ええ!?」  アンナとマリーの声が重なった。 「あなた、シャイン伯爵とベルタン侯爵と言ったら社交界で一二を争う人気の方々なのよ?」 「国の令嬢たちがその妻の座を狙っている二人なのよ?」  アンナとマリーのどちらが言っているのかわからないほど声を合わせてサンドリーヌににじり寄っている。 「そ、そうなの?」  気圧されたサンドリーヌは返答に詰まった。 「たまたまです。いつかミス・マーシャルもミス・カルパンティエもお声をかけられることでしょう。ただ順番が早いかどうかだけですわ」  エマは相変わらず落ち着き払った笑顔でおっとりと話している。 「まさか国一番の人気のお二方と同時にお近づきになったとは。我が友人ながらいきなりの躍進ね」  アンナが嫉妬の混じった物言いでサンドリーヌを一瞥した。
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