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「まあ、がんばって。先生たちがオッケーしたなら、俺たちに断る権利はない。ザンネンだけど」
ザンネンの意味をくみ取れず、わ――いと手放しで喜びそうになった私に、会長は気の毒そうにアドバイスをくれた。
「部活は入っておいた方がいい。でなきゃ、放課後まで生徒会室にいることになるから」
「え? いいんですか? いても、いいんですか?」
しばらく面食らったように黙っていた会長の口元がゆるんだら、ふっと笑い声が漏れた。
「じゃ、また明日」
「あ、あ、あ、え――!!」
不意打ちを食らった私はドアの外に押し出されてしまい、中からガチャリと鍵の閉まる音が聞こえた。
し、しまった! でも、立候補することは伝えられたし、それに。
「会長、また明日です! 高梨卯依です、一年三組ですから! 覚えておいてくださいね!」
「うるさいって」
「あと、好きです! 好きになりましたから、会長のこと!」
「いいから、もう帰って! マジで!」
ひゃー、怒らせてしまったかもしれない?
生徒会室のドアに向かって一礼をして歩き出そうとしたら、中から笑い声が聞こえてきた。
これは、もしや、会長の笑い声!?
なんだか嬉しくなって、昇降口への廊下をスキップする。
明日からずっと会長と一緒にいられますように、そう願って。
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