第二章 うさぎの初恋

4/4
前へ
/84ページ
次へ
「まあ、がんばって。先生たちがオッケーしたなら、俺たちに断る権利はない。ザンネンだけど」  ザンネンの意味をくみ取れず、わ――いと手放しで喜びそうになった私に、会長は気の毒そうにアドバイスをくれた。 「部活は入っておいた方がいい。でなきゃ、放課後まで生徒会室にいることになるから」 「え? いいんですか? いても、いいんですか?」  しばらく面食らったように黙っていた会長の口元がゆるんだら、ふっと笑い声が漏れた。 「じゃ、また明日」 「あ、あ、あ、え――!!」  不意打ちを食らった私はドアの外に押し出されてしまい、中からガチャリと鍵の閉まる音が聞こえた。  し、しまった! でも、立候補することは伝えられたし、それに。 「会長、また明日です! 高梨卯依です、一年三組ですから! 覚えておいてくださいね!」 「うるさいって」 「あと、好きです! 好きになりましたから、会長のこと!」 「いいから、もう帰って! マジで!」  ひゃー、怒らせてしまったかもしれない?  生徒会室のドアに向かって一礼をして歩き出そうとしたら、中から笑い声が聞こえてきた。  これは、もしや、会長の笑い声!?  なんだか嬉しくなって、昇降口への廊下をスキップする。  明日からずっと会長と一緒にいられますように、そう願って。
/84ページ

最初のコメントを投稿しよう!

30人が本棚に入れています
本棚に追加