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お昼休みの教室に、スピーカーから流れてきたのは大好きな会長の声だった。
「生徒会副会長、吉居仁。書記、高梨卯依、梶原大樹。至急生徒会室まで来るように。繰り返します。二年二組の吉居、一年の高梨、梶原は生徒会室まで」
会長が、私を呼んでいる!? しかも大至急だなんて! こうしてはいられない!
給食の〆である牛乳を、ゆったりと飲んでいた私は、チュウズズズッとほっぺたをすぼめてストローで一気に残り半分を吸い込んだ。
「うさぎちゃん、生徒会の定例会は昨日よね?」
「うん、そうだったはず?」
そういえば、今日はなんで呼ばれてるんだっけ?
「生徒会長の声、なんだか怒ってたよね」
「そう? 私には『早くおいで、待ってるよ』って、やさしく聞こえたんだけどな?」
「うさぎちゃん、一度耳鼻科行っておいでよ」
気の毒そうに苦笑いをする隣の席の長瀬未来ちゃんに首をかしげながら、席を立ち空になった皿が並ぶ給食トレイを持つ。
【うさぎちゃん】それは私のニックネームだ。
名前に卯年の卯があるからか、それともいつもツインテールをしているせいか、入学してからすぐに生徒会長につけられた呼び名は、今ではクラスにも広まっている。
「じゃあ、いってくるね! 五時限目までには戻ってこられると思うけど」
「あたりまえでしょ! いってらっしゃい」
食器を片付け、見送ってくれた未来ちゃんに手をふり、四階にある一年三組の教室を飛び出して、五組の前の階段まで行くと。
「あ、大樹くん」
「おう」
五組から出てきた同じく書記仲間の大樹くんとバッタリ出会った。
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