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肺に息を送り込むのに一杯一杯で、目は涙で滲み、何が起こっているのか見えない。
ただ、なぜか、急に寒くなった。
一瞬にして凄まじいほどの冷気が辺り一帯を包んでいる。
わたしの上に馬乗りになっていたはずのジノンは立ち上がっていた。
「わわわああああぁっっ‼︎‼︎」
叫び声をあげたジノンの両手が……凍りついていく。
よく見ると足元も。
「な、なんだ、何なんだ⁈ 助けてくれぇっ、ひぃいいぃっ」
何が起こっているのかわからなかった。
ジノンの体は両手と両足から胴体へと凍りついていき……ついには頭だけを残して固まった。
固まり、身動きが取れなくなったジノンは、そのまま背後へ倒れた。
「アリッサ!」
体を起こして霊廟の陰から出てくると
「あああああ! すまないっ、アリッサっっっ‼︎」
ものすごい速さで駆けてきたユリウス様に抱きしめられたのだった。
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