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「でも令嬢たちが辞退していたのは本当だよ。どうやら彼女たちの大切な殿方に色目を使ったりしていたようで、相当嫌われていたらしい」とユリウス様が言うと
「……本当に。そんな女と婚約してしまう直前にわかって良かったです。精霊の名の下での盟約は破棄するのは相当困難だと聞きますし」ギレンホールさんもうなづいた。
式が始まり、入場してきたカミーラがわたしではない女性を立会人に連れて来たので、当然ユリウス様と王子が中断を申し出た。するとタウロンを筆頭にディグビー侯爵家側も反論し、場が荒れる。気が気でないユリウス様に王子が捜索を許可し、ユリウス様たちは周囲を探し回った。
「裏手の墓所も事前に入念に調べてはいたのだけれど」手落ちを許せないのかユリウス様は綺麗な唇を噛み締めた。
「いいえ。四日も前から霊廟に隠れ潜んでいるとは、さすがに予想出来なかったでしょう」とギレンホールさんが言うように、ジノンは霊廟(お墓!)の中に隠れていたのだ。恐るべしな執念である。
ジノンは最初黙秘していたが、警務騎士に強い自白魔法をかけられてタウロンの名を吐いた。
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