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ジノン……恐ろしい男に変わりはないけれど、少し気の毒になった。
「タウロンのような闇魔法の使い手が……陛下の側にいたのが理解出来ないのですが」
当然の質問をすると、ユリウス様は意味ありげに微笑んだ。
「それは王族の力を明かすことになってしまうので説明出来ないんだ。……ちゃんと彼らは制することが出来るから、宰相の身分を与えたということだね。彼らにとっては直接の危険はないけれど、タウロンの能力や才覚は使えると思ったんじゃないかな。今回脅威だと判明してしまったけれど」
「ユリウス様はなぜ知ってるんですか? ズルいです」
「ズルいって……知ってしまったんだよ。アレクシスとの付き合いの中で」
困ったように肩をすくめるユリウス様をじっと見つめてみたけれど、王族の秘密はやはりおいそれと答えてくれることはないようだ。
「……一つだけ、教えてあげられる方法があるけど」
「何ですか?」
身を乗り出して尋ねたわたしに、ユリウス様も顔を寄せて、囁くように答えた。
「僕と家族になること」
それって……つまり……。
「んんっ!」
ギレンホールさんの咳払いでハッと気づいた。ここは執務室だった。
「イチャつくのは、私のいないところでお願いします!」
ところで、わたしが話せているのを不思議に思われているので説明すると、当然タウロンに闇魔法を解かせたのだ。もちろんマリーの呪いも。
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