24 弁護士がお喋りにやってきた

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24 弁護士がお喋りにやってきた

 そんな出てはいけない人々が、まあ浮かれて出てしまったのだろう。  そうすれば…… *  そんなことで毎日もやもやしている時に、仕立て屋がやってきた。 「ああこっちよ。頼むわ」  夫人が二階から手招きしていた。  なるほど、ペット用の服を仕立てるべく呼んだのか。  となると、外にも出す気なのか。  夫人が留守の時には、ペットの少年も時々そっと抜け出しては廊下や窓の辺りをうろうろしているのをたまに目にする。  採寸してきちんとした服を作られたら、一体何処へ連れ出そうというのだろう。  ああ誰かと話したい!  考えるだけだと本当に悶々としてくる。  仕方が無いから、ともかくモップを持ってきて、玄関の石段を力を込めてこする。  苛立ちが溜まる時にはちょうどいい。  ドロイデが見かねて「パンこね手伝っておくれ」と言う時もある。  そんな時はもう、パンこね台に勢いよくばしんばしん、と生地を叩きつけるものだ。  けど、今日はそういう日でもなさげなので、窓をきりきり綺麗に磨くか、モップをかけまくるか、だ。  だいたい終わったので、裏へ回って洗っていると、使用人口から入ってくる人が居た。 「ねえ君、ここでメイドみたいなことしているアリサさんを知ってる?」  私はモップを洗う手を止めた。 「私ですが、どなたですか?」  すると丸眼鏡に、おさまりの悪い髪の毛、くたっとした上着とシャツの若い男はふんわりと笑った。 「僕はカムズ・キャビン。この間の書類、分かり易かったかな、と思って」  !  私は思わず立ち上がった。 「貴方が!」 「今ひとつあれで良かったのかな、と感じて。やっぱり本人に聞いてみたいなと思って」 「ええ、ええ! あれはあれで、もの凄く考えさせられました! だけど、どうしてもその後がまとまらないし、手の出しようもなくて!」  そしてこう言ってしまった。 「貴方に直接会って話したかったんです!」  え、という顔で、近くで野菜を洗っていたハッティとロッティがこっちを見た。 「……あー、ここじゃ何だし、これ」  どん、と洗ったジャガイモを彼女達は私に渡した。 「今話したいんだよね。だったらこれ、聞きながらできるよ。ドロイデさんからはあたし等が頼まれたけど、別に誰でもいいんだし」 「あ、ありがとう! すみません、ちょっとこっちに」  私は彼をそのまま厨房の下ごしらえのテーブルにつかせた。 「ちょっとお茶淹れますね」 「あ、お構いなく」 「いえ、話ですから、喉渇きますし」  正直、私も欲しかった。
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