黒い卵

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私の名前は『唯織(いおり)』、千葉県船橋市の小学4年生の女の子で、私には3歳年下の『蒼音(あおと)』という名前の小学1年生の弟がいる。 私の家は、3年前に父が病で他界してしまい、母と弟と私の3人で生活している母子家庭だ。 自宅は養鶏場を営んでいて、1万8千羽の主に卵用鶏(レイヤー)を飼育している。 この養鶏場の経営は厳しいようで、父が亡くなってからの母は必至で働いているようだった。 小学4年生になった私は毎日の母の疲れた表情を見て、私も何か手伝えることはないかと思うようになった。 私は主に蒼音の遊び相手になって、蒼音が母の仕事の邪魔をしないようにすることが多くなった。 また、小学校がお休みの日は、朝卵を集める作業のお手伝いをするようになった。 私が朝卵を集める作業をすると母が、 「唯織、ありがとね!  助かるよ!」 と笑顔で私に言葉をかけてくれる。 私はこの母の笑顔が、とても好きだった。 日々の生活は大変で母と蒼音と私の3人の生活は、経済的には裕福とは言えなかったけれど、私は幸せだと感じていた。 蒼音はまだ小学1年生で家の事とか分かっていないけれど、でも素直な性格だったから私は蒼音とよく一緒に遊んだり一緒に勉強したりしていた。
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