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「しかも、それだけじゃなくてさ。小島さんと話が合わない点は、他にも合って……」
岡田の不可解な報告は、私が内心で驚いている間も、さらに続いていた。
「……俺たちが乗ってたタクシー、小島さんは『白いタクシーだった』って言うんだが」
白いタクシーという言葉で、私は一瞬、白タクを思い浮かべてしまった。
日本では、人を乗せて営業するタクシーは、ナンバープレートが緑と法律で決められている。白ナンバーは自家用車なのに、それで違法にタクシー業務をやっている場合「白タク」と呼ばれるわけだ。
しかし小島さんがわざわざ、通り過ぎた車のナンバープレートに注目するはずもない。実際、ここで話題に上がっているのは車体の色であり……。
白タクについて考えて、頭の中で寄り道していた私より先に、阿部が岡田の発言に応じていた。
「それはおかしいよね。僕たちが乗ってきたのは、真っ赤なタクシーだったよね」
「はあ? それも違うだろ。赤じゃなくて青だ。全体的には青色で、白いラインや白い文字がワンポイントで入ってた」
小島さんの目撃談どころか、岡田と阿部の間にも食い違いが生じている。
しかも、どちらも間違っているではないか! 私たちが乗ってきたタクシーの色は……。
「おいおい、二人とも……」
私は割って入ろうとしたのだが、私の言葉は、今度も遮られてしまう。
阿部が素っ頓狂な声を上げたのだ。
「あっ! これって『雨上がりの白いタクシー』だ……!」
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