雨上がりの白いタクシー

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    「……その乗客たちは、みんな死んじゃうんだ。それぞれが思っていた色に対応する死に方で」  自分たちの状況に合致する都市伝説を語る中で「みんな死んじゃう」という言葉が出てくれば、聞いている私たちは、さすがにゾッとする。  岡田も黙ったほどであり、この場が静まり返った分、離れた場所の喧騒もよく聞こえてくるくらいだった。  しかし、そんな静寂は一瞬しか続かない。あえて陽気な声で、岡田が再び口を開いたのだ。 「おいおい、色に対応する死に方って……。『赤い紙、青い紙』のパクリか? あれも『トイレの花子さん』みたいに、トイレを舞台にした学校怪談の一種だったよな?」 「お化けか何かに質問されて、その答え次第で殺されてしまう話だろう? 確か『赤い紙』と答えれば体中(からだじゅう)から血を噴き出して真っ赤になって、『青い紙』だと体中(からだじゅう)の血を抜き取られて真っ青になって……」  岡田の発言に私も続いたが、阿部は再び首を振ってみせる。 「うん、だいたいそんな感じ。だけど具体的には少し違っていて、血を噴き出すとか抜き取られるとかじゃなくてね。『雨上がりの白いタクシー』の場合は……」  肝心の話は、その先だったのかもしれない。  しかしそれ以上、阿部は続けられなかった。  体の震えが急に激しくなったかと思いきや、真っ赤な顔のまま白目を剥いて、テーブルに倒れ込んでしまったのだ。 「おい、阿部……」 「どうした? しっかりしろ!」  私と岡田だけでなく、他の者たちも慌てて集まってくるが……。  阿部は完全に意識を失っており、もはやピクリとも動かなかった。    
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