夏夜物語

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2024・7・1  長かった梅雨の時期も明け、私の通う高校も明日から夏休みを迎える。  私は夜のコンビニへと歩んでいた。 「葉乃ちゃん、何かコンビニで欲しいものってある?」 何が楽しいのか、彼女はスキップしながら歩いていた。  そしてその言葉にくるりと身体を回転させ、私に向き直りながらピョン、とジャンプをする。  短いおかっぱの髪が頬で揺れた。 「アイス! しろくまの!」 まるで子どもみたい。言い方も、仕草も。 外見はちゃんとした15歳なのに(確か誕生日は8月と言っていた。今は7月だから高1でまだ15歳)、そのくるんと回す瞳や、アイスごときで万歳と両手を挙げるのは、中身はまだ5歳児のようだ。 私たちが今、ここにいるのも葉乃ちゃんの唐突の誘いからだった。
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