夏夜物語

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 それは教師にも言えることで、授業時間通りに教室に来なかったり、ノンアルコールビール片手に授業したり――と、色々スレスレだ。  私はそんな中で、特定のグループに属さず、ランチの時はこの子たち、移動教室の時はこの子たち、と根無し草のようにあちこち出入りしていた。  無所属の葉乃ちゃんとは違う。  彼女は望んで一匹狼になっていたけれど、私は確固たるグループに居場所が欲しかった。  けれど始業式が始まり、2,3日であっという間に群れはできていて、私はそこからあぶれてしまっていた。  自分から話しかけることも、仲間に入れても言えず。  都度、声をかけてくれる子たちとその場凌ぎで群れに入れてもらっていた。  葉乃ちゃんと同じなのは、決してイジメとかハブられているとか、そういうことではなかった。  話術も勇気もコミュ力も持ち合わせていない。  他の子といても、自分から話題を振ろうと思っても特に何も思い浮かばない。  皆が話しているのをうんうん頷いているだけだ。  大きい声を上げることもない。意見を言ったりすることもできない。  私には自分というものがなかった。昔からそうだった。  ――女の子だらけの高校に入っても結局同じか――。  女子のコマが多いので、女子高に入ればきっと友だちと呼べる子ができるはずだと思っていたのだ。
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