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その後も熱は続き、うんうん唸りながらベッドの上で過ごした。
どうしてこういう時も、嫌な夢は見るし、思考が暗くなるのだろう。
ゆっくり眠りたいのに。やわらかな夢を見たいのに。
安らかな場所にいたいのに。
だけどこのまま私は一足早く夏休みだ。
――そう思って少し気分が軽くなっていたのに、夏休み前最終登校日にすっかり元気になってしまった。
学校を休もうか一瞬迷ったけれど、家にいてもやることないし、どうせ暇を持て余すことになるのだから、と、私はのろのろと制服に着替え、パンと牛乳だけの朝食をもそもそと食べ終え、学校へと赴いたのであった。
教室に入り、誰彼ともなく「おはよう」「熱出したって?」「もう大丈夫なの?」と当たり障りのない会話を交わし、窓際の自分の席に着いた。
窓から降り注ぐ光は、まだ朝だというのに力強く、空は青く、雲は高かった。
本格的な夏に入ったんだなぁ、なんてぼんやりしていると、不意に首に触るものがあった。
「!?」
ハッとして目を向けると、葉乃ちゃんが私の首筋に手を這わせていた。
「もう腫れてないね、よかった」
何日かぶりに接する彼女の不思議ちゃんぶりは健在で、私は少し嬉しくて、少し安堵した。
そして彼女は唐突に言ったのだ。
「今日の夜、水森町のセブンに行こー」
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