夏夜物語

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 それを聞くと、私は二階に上がり、エアコンを少し強めに設定するとベッドに横になった。  スマホを何気なく手にし、つぶやきサイトを立ち上げる。  一番上に表示されていたつぶやきは、昨日の透波くんのアイコンだった。  黒ブチメガネだけがテーブルの上に置かれているプロフ画像。  これは彼がかけていたものだろうかと思い、そのままタップする。 『透波(TOUHA) DK1』だけの自己紹介文。  DK1は、男子高校1年生ってことか。  そして私は、彼のフォロー数にぎょっとした。  桁が凄い。ただの高校生にしてはフォロー数が多すぎる。  透波くんにはそんなに知人が多いのか? だけどそれに反してフォロワー数は極端に少なかった。 『さて、夕飯前までに宿題こなすか。こんなの朝飯前。  #夏休みの宿題 #受験終わったばかりなのにまたもや課題 #まあこんなの簡単だけどね #物理の教師馬鹿 #俺はやる漢だ』  42分前。 『ガーリック風味のポテチは覚醒する。  #にんにく  #大蒜をオオニラだと間違って読んでいた #手についたパウダー最強 #ポテチを一人で完食する至福 #なぜにんにく風味のポテチはピンクのパッケージ? 黄色とかじゃなく?』 81分前。 『夏休みだし、髪を切るか。それともロン毛目指すか。   #イメチェン欲求 #覚醒 #地味男舐めんな #夏休みデヴュー #いつか見返す』  106分前。 ――と、正直どうでもいい内容ばかりだった。ハッシュタグ多いし。  ほぼ一時間ごとに呟いている。  いいね! も一つ二つついているか、誰にも触られていないかだった。  コメントがついているのも見当たらない。
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