夏夜物語

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 すぐに白い箱型の大きな車がやって来た。  おーい、と葉乃ちゃんが手を振る。白くまはもう食べ終えていて、容器はコンビニ前のゴミ箱へ捨てた。  どうやら“九条くん”が乗っているようだ。  私たちの前に大きな車が横付けする。  運転席のパワーウインドが空き、細面のお兄さんが顔を出した。  奥の助手席には、これまたもうひとりの仲間らしき人が、ダッシュボックスの上に足を乗せて乗っていた。暗くて見えないけど、男の子みたい。 「奏くんとホモしあってたの?」  葉乃ちゃんが無邪気に尋ねる。 「そうなのぉ」  細面の九条くんが、割と凛凛しい顔をくしゃっとして言う。  その話し方はまさにオネエだ。 「また奏くんとつるんでたの? 奏くん、家に帰ってるの?」  煙草女子、桔咲さんが呆れたように言葉を吐く。
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