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姿がない“おっちゃん”といい、仲間は他にもいるのか?
来るもの拒まずのグループ?
オネエ九条くんも、横顔が朴訥とした少年に見えた奏くんも、新参者の私のことは特に気になっていないようだ。
「どこ行くぅ?」
ウインカーを出して、オネエ九条くんが往来する車の間に入るタイミングを見計らっている。
「プール!」
葉乃ちゃんが腰をぽん、と浮かせて言った。
「プールじゃなくて、こういう時は海でしょ」
「海でもいい!」
「葉乃ちゃん、絶対泳ぐでしょ。水着持ってきてないでしょ。裸で泳ぐつもり?」
彼女のはしゃぎっぷりを、桔咲さんが制す。
「じゃあ、公園。ブランコとかすべり台とかあるとこ!」
やっぱり子どもみたいだ……私は葉乃ちゃんのキラキラしている様子が愛らしい。
「中身幼稚園生だよな」
後ろでメガネ男子透波くんがぼそりと呟く。
どうやら私と同じことを感じたらしい。
「おでん食いたい」
助手席の朴訥男子奏くんがぼそっと言った。
「夏だよ? あのセブンでも売ってないよ」
透波くんが突っ込む。
「私はビール飲みたい」
「桔咲さんは飲める年齢でいいな」
なんだなんだ、このカオス状態は。
皆、個性強すぎ……私なんか沈んでしまう。
だけど、何か、楽しい。
夏の夜、っていうだけでどうも浮かれてしまう。
独りじゃない、というのもそれだけでテンションが上がる要因の一つだ。
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