黒と白の世界の終焉

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黒と白の世界の終焉

ソレイスは魔法鳥から発せられたメッセージに 心を痛めた。この子爵令嬢が密かに黒を保護しているのを先日父王から聞いたばかりだった。 ソレイスは臆病な性格だったが 父も兄も黒に対する無差別殺人を 容認しているのは間違っていると思っていた。 今こそ、行動を起こすべきだ。 ソレイスは決意を新たに執務室を後にした。 1年後、ソレイスは新王として即位した。 何度もこの身分制度は間違っていると 父や兄に問いかけ、黒たちが保護されている施設にも赴き、子どもたちの遊び相手になった。 そのことが国民に高く評価され、父や兄からも 「お前が王になるべきだ」と認められた。 そして、レイチェルの言葉通りまずは国を変えることを決意し新たな法律をつくった。 黒と白という身分制度を廃止し、すべての人に 人生を与える。 この法律によって黒と白は普通の 人間となることができた。 しかし、5年経った今でも 親しくしていた人が 黒と知ると眉を顰める者もいる。 白と知ると怯える者もいる。 だが、レイチェルは国は 随分と変わったと感じていた。 我が国が身分制度を廃止したことにより 世界も変わりつつある。 あぁ良かった。 マーサ。あなたが願っていたことを やっと成し遂げることができたわ。 レイチェルは嬉し涙で頬を濡らしながら 「白と黒の世界は終焉を迎えたわ。これからは 普通の人間の世界が幕を開けることになる」 と、空に向かって言った。 ありがとうございます。レイチェル様 マーサの嬉しそうな声が聞こえた気がした。 (終わり)
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