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食事を終え、レストランを出た私達は、駅までの道をゆっくりと歩いていた。
(いきなりお持ち帰りってことはないだろうけど、なんかドキドキするなあ)
などと思っていると、彼がふいに足を止めた。
「君さ……」
「は、はい!」
「その服、あんまり似合ってないよ?」
「……え?」
「なんか、喪服みたいな感じするし。もっと明るい色の方が良いんじゃない?」
(な、なんですと!?)
私が言葉に詰まっていると、彼はさらに続けた。
「今日は始めてのデートだし、気合いを入れたんだろうけど……。人には、似合う色とそうじゃない色があるからさ。そのへん、気にした方がいいよ」
彼の言葉が、見えない刃となって突き刺さる。
「じゃあ、俺はここで。気を付けて帰って」
そう言い残し、彼は駅へと向かって歩いていった。
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