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通常又は非日常
帰ろうと思えば今すぐにでも帰れるんです。
でも、帰りたくないと思ってしまう、哀れな私めの話をどうか聞いてはくださいませんか。
まずお話しなければいけないのは、私の状況についてですが、プライバシーの保護と言う、言い訳を使って省けるところは省かせて頂きますが、私は学生をしていました。そこで、桃華と言う女子に出会いました。それはそれは大層可愛く私の心をまるで息を吸うように簡単に心を射止めたわけです。
ここでひとつ理解して欲しいのはですね。
私が惚気話をしたいがためにあなたに話しかけている訳では無いということです。
ここまで聞いただけでは、その少女には何も特徴も無く普遍的なあどけない少女に写るでしょうその印象はこれからの私の話を聞いても変わりはしないでしょうが、彼女の辺りが変なのです。
あっています
彼女の周りが変なのではありません。
辺りが変なのです。
例えばあそこ、理科室には、化石や標本が飾ってあります。でも彼女の周りには一切と言いきっていいほど、ありませんでした。
正確にはあることが出来なかったのでしょう。
だってそうじゃないですか。
誰も動く標本や化石を化石や標本などと形容するはずがないじゃないですか。
さりとて、彼女が能力や霊力を持っているという訳では無いというのです。
彼女曰く
霊感やオカルト的な能力など、迫る税金の慈悲よりも少ないと。
ある意味皮肉めいた彼女の言葉に、恋とは違うドキドキを感じ私は持っていたジュースを半分ほど飲み干した事を何故か鮮明に覚えています。
閑話休題
辺りが変と言っても、それだけじゃ、胡散臭いオカルト雑誌に桃華と言う怪異がのるだけでしょうが、彼女が歩く道には水が小瓶のひとつもないのです。
それは彼女が変ではないかと思われるかも分かりませんが、そんなことはないのです。
だって、その道には僕も一緒にいて、僕は喉が渇いてジュースを飲んだんですから。
決して彼女が水分を無くす怪異ではないことはお分かり頂けるでしょう。
ではなぜ、水が無いのか、彼女から聞いた話に頼るしか無いのですが、彼女が歩いた河辺は、からっからというには陽の光が足りないがそれ以外の表現を私が知らないので、からからと表現させていただきます。
ほんのひとつもなくなるのです。
その理由も今の状況で、彼女に説明してもらいました。
そろそろ、本題に入らなければいけませんね。
なぜ私が今の状況に陥っているかといえば、
彼女から連絡があったんですよ
深夜、散歩に行かないかって、
久々の連絡で浮かれていました。なんと、私は学生からの恋をずるずると、何年も引き摺っていたのです。
それが私の大失敗と言っても過言ではありません。
話を戻します。
散歩をしていた時に彼女が何も無い方向を指して、「あの河原に行きましょう」と言われ、キョトンとして、何も言えず。そのままついて行ってしまったのです。
今となればここで疑問を持つべきでした。
疑問に思った時にはもう、私は今の状況でしたから。
私は彼女と、河原を歩いていました。
そこは誰もおらず。キリが濃く、歩く道は、彼女の『辺り』の雰囲気に似ていました。
彼女は可憐に華奢で、守りたくなる様なそんな彼女でした。
彼女は今までの事を話してくれました。
屍鬼
別名ゾンビ
生み出されたものに操られる伝染的な怪異的はパンデミックである
彼女は屍鬼の血を継いでいる混血だと語られた
もちろん、私は意味なんて、てんでわからなかったのですが。あとから考えると分かるところもあります。
理科室の標本たちは死んだものを操ると言う屍鬼の特徴に反応したのだろう
川の水はここ以外の水を飲ませないよう神がそうしたのだろう。
三途の川
ココの名前だ。彼女は屍鬼、鬼として私をここに連れてくる使命があったと言います。では今明かすと帰られる危険性があるではないかと、
私は気づかなかったのです。彼女が鬼である所以を、だってそうでしょう。
「あなたのことが好きだから、私が犠牲になって日常に帰って欲しい」と。
帰ろうと思えば帰れるのです。
でも帰りたくはなくて、彼女の期待に応えたい私はどうすればいいのでしょうか。
どうすれば良かったのでしょうか、
どうすれば、
こうやって伝染することがなかったのでしょうか
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