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2 ローナ・ゴールウェイ
ローナ・ゴールウェイは、ゴールウェイ男爵家の四女である。
彼女の下には、アレックスという弟が一人いる。
ローナが十五歳の時、三人の姉たちは、同じような家格の貴族や新興の実業家のもとに相次ぎ嫁いでいった。
そのために男爵家の貴重な蓄えは、あっという間に消えてしまった。
男爵家のささやかな領地からの実入りでは、何とか貴族の体面を保ちつつ暮らしていくので精一杯だった。
お金に換えられるような高価な宝石や美術品などなかったので、王都の小さな屋敷を売りに出し、その年貴族学院へ入学した弟の教育費を捻出した。
ローナは、両親と一緒に領地の古い屋敷に移り、得意なレース編みや手紙の代筆で僅かな収入を得て、男爵家の家計を助けることになった。
貴族の子女の多くは、十五歳で社交界にデビューするが、ちょうどその頃領地に引き上げてしまったローナは、結局社交界に顔を出すことはなかった。だから、同じ年頃の貴族の子息と知り合う機会もなかった。
ローナが、何の刺激もない領地で暮らし始めて、いつしか三年の歳月が流れていた。
十八才になる貧乏男爵家の娘に興味を持ってくれるのは、貴族と姻戚になることを狙う商人や年若い後妻を求める隠居した老貴族ぐらいだった。結婚どころか、恋愛ともローナは無縁であった。
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