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菅原くんはいい子
本当、菅原くんっていい子なんだなあ。
気遣いができるし、優しいし…
男女関係なくモテそうな爽やかな好青年。
私はそう思っていた。
今から考えるとあの頃の自分は馬鹿で愚か者だったと思う。
そう、彼の"本性"を知るまでは。
『神野さん、学校はもう慣れた?』
菅原くんはお昼ご飯を食べながら聞いた。
菅原くんのお弁当はとても小さかった。
私が小学生の頃、遠足でもって行ったサイズに似ている。
人によって食べる量は違うからあんまり言及するのも失礼かと思い、私はあえて言わなかった。
『はい。結構、慣れました。』
『そう?よかった〜。』
そう言って菅原くんはにっこりと微笑んだ。
ぱっちりとした少しあどけなさが残る笑顔はきっと今までも多くの人を虜にしてきたのだろう。
(…まただ。菅原くんの暗い顔。)
菅原くんはたまに笑顔が本当に心の中で笑っていない苦しそうな笑顔をする事がある。
あれは一体、なんなんだろうか。
私は不思議に思いながら、弁当を開けた。
お昼休みが終わり私は教室に戻った。
教室に戻るとたくさんみんなが話しかけてくれた。
私は流石に全員の名前は覚えきれないが、これから覚えようと一人ひとりの特徴をつかめるように、私の後ろの席は〜…みたいな感じで覚えていった。
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