いい子くんな菅原くん

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いい子くんな菅原くん

廊下を歩いていると菅原くんにあった。 彼は段ボールや大きい模造紙をたくさん持っていた。 よく見ると、隣には友達らしき男の子がいる。 (こんなに持って一体何に使うんだろう…?) 私はキョトンとしながら菅原くんの方を見つめた。 すると、菅原くんは小さく手を振ってくれた。 え… 菅原くんは私が思っていた以上にいい子のようだ。 なんか恨みでもかったら殺されるとか不謹慎極まりない事を思っちゃって少し申し訳ない気持ちになった。 『…え?菅原くんのクラスって何組かって?』 ふと彼の事が気になり清原先生に質問してみた。 彼は自分の話を全くしない。私ばっかりいつも話しているのだ。 話を中々振らないし、空をボケーッと見つめていたり、目の奥はたまに暗い事がある。 聞いても曖昧な返答ばかりするのだ。 例えば 「菅原くん」 「ん?なーに?」 「なんで案内人になったんですか?」 「んー、何となく始めただけだよ。」 …とか。 『…また、あの子……まぁいいわ。6組よ。菅原くんのいるクラスは。』 『ありがとうございます。』 『…どうしたのよ。急に、菅原くんのクラスはどこかって……』 『いえ、急に気になっちゃって。』 『…?』 他にはー… (あ、あの男の子、菅原くんだ。) 菅原くんは50メートル走のタイムを呼びかけられていた。 菅原くんって運動神経もいいんだな。 弓道着で友達と笑いながら話していた。 移動授業だろうか。 他にはー 『重い…』 たまたまいろいろ重い荷物を持っていた時に菅原くんが声をかけてくれた。 『かーみのさん。持とうか?』 横からひゅっと菅原くんが出てきた。 『いいんですか?ありがとうございます。』 重い荷物を運んでくれたり… 『先生〜、◯◯さんがしんどそうです。』 体調不良な生徒にも素早く気づいてくれたり… 周りの変化にも人一倍敏感で、よく周りを見て行動している。 私は体育の授業の時、走りながらこっそり菅原くんを見ていた。
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