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IMAGEBREK第一話『学問の神様』(リメイク版)
『だったら勉強なんて意味ないじゃない!だったら私の今までやった勉強はなんだったの?無駄だったの?』
私は菅原くんに泣きながらそう問いかけた。
菅原くんは目を見開いた。
そう。お察しの通り菅原くんとは菅原道真のことだ。何で菅原道真と私が話しているかというと…
まあ色々あったからである。
『だって…分からない!分からないんだもん!だって…一生懸命……覚えた事だって…どうせ一生…使わないんだもん!』
『…いや、そんな事はー』
『何で勉強なんかしなくちゃいけないの?数学だって、国語だって…もう全部、将来使わないじゃない!』
『…。』
菅原くんは私の方を見た。
『落ち着ー…』
『うるさいっ!!私の気持ちなんて誰にもわかるわけないっ!!離してっ!!』
私は菅原くんの手を振り払った。
ああ、私…
最低だな…
何やってるんだろ。
私はそんな事を思いながらひたすら走った。
第一話『学問の神様』
『ねぇ、神野さんって羨ましいよねぇ。』
『あ〜、わかる。確かお母さんが歴史学者でお父さんは歴史オタクの大学教授なんてねぇ。元から頭がいい家系でうらやましいな〜。』
邪魔だなあ。そこ、通りたいのに。
私の目の前で女子高生2人がコソコソと話していた。
ここは私の通学路だ。周りには神社がたくさんあり、神秘的な光景が広がっている。
『…すみません。そこ、通りたいんですけど。』
『あっ、ごめんなさ…って本人じゃん。』
『マジだるう〜。』
そう言いながら私の目の前を女子高生2人組が通り過ぎた。
『…しんど。』
私は聞こえない距離でそうつぶやいた。
学校についたらついたで地獄のような日々だった。
『さっすが、ミスパーフェクトだな!神野は!』
はははっと恐らく悪気のない熱血教師が言った。
内心、うるさいなぁ。こっちだって努力しているんだよ、と思いながら私は教卓の下で握り拳をつくった。
『…ありがとうございます。』
私は笑顔を取り繕いながら言った。
ギロッ
クラスメイトの女子に睨みつけられたような気がした。私はそれを見ないふりをして席についた。
それから何時間たった頃だろうか。
やっと授業が終わり放課後になった頃だった。
『やっと…終わった。疲れた。』
私はそうつぶやいた。
『もう、嫌だ。なんなの。あの空間…』
あんな事いっても、だれも何も言わない…重苦しい空間。
『もう、嫌だ。苦しい。』
私はその時おそらく死んだ目をしていただろう。
そう私は黙って横断歩道の中に飛び込んだ。
これでやっと、私は楽になれる。
やっと…
『危ないっ!!』
え?今の声、だれ?
私はそんな事を考える余地もなく、私は白く大きな車に轢かれた。
ドンッ
ブシャツ
私の周りに血の海が一瞬にして、できあがった。
いたい。痛い!!
いやいや自業自得だろと私は心の中でツッコんだ。
運転手さんは何も悪くない。私が飛び出したのが悪いんだ。
ああ、わたしはこのまま死ぬのか。
私、今まで作り笑いしかしてないなあ。
いやだなあ。
一度でいいから心の底から
お腹の底から笑ってみたかった。
私の脳裏に心から笑っている私の姿が浮かんだ。
あー、でももう無理かあ…
『…大丈夫?君。』
男の子の声がした。
(男の子の声?しかも同い年くらいの…?)
私は恐る恐る目を開けた。
そこには白いシャツにベルトをつけた黒ズボンの男の子がいた。
身長は私より少し高い。
『あなた…どちら様ですか?』
『俺は菅原道真。学問の神様だけど、勉強嫌いなんだ〜。』
『…え?』
私はフリーズした。
学問の神様?
菅原道真?
何を言っているんだ。この人。明らかに怪しい人ではないか。逃げた方がいいのでは?
『…失礼します。』
『え?なーに?』
私はそう言って走り出した。
シュパッ
すると、素早く手を優しい力で掴まれた。
『おおっと、あっぶない、あぶない。』
『ひぃ……⁉』
『君、足速いね〜。すっげー。』
そう言って男の子は感心したのか私の方を見て興味深そうに微笑んだ。
(なんて瞬発力だ…)
男の子は言った。
私は隙をついて逃げようと隙間を狙ったがどれも男の子の手によってガードされてしまった。
『俺、君に用があるんだ〜。だからここにいてくれない?』
男の子はにこっと微笑みながら言った。
(な、なんなの、この子?)
それから男の子は私の手をパッと離した。
『それで、用というのは…?』
私は酷く動揺しながら口を開いた。
『んーとね、まあ結論から言うと…歴史学校に通ってもらう事になりました〜。』
…え?歴史学校って何?
『ち、ちょっと待ってください。私はもう通っている高校があるんです。だからー…』
私は次の言葉をなんとか頭の中から絞り出そうとした。
でも、出てこない。それはー
私、何で立てているの?おかしくない?
だって私は白くて大きな車に轢かれて、私は血だらけで意識がないはずだ。
だったら何で?
私、何で今まで気付かなかったの?
死の淵に立つと幽霊が見えるって本で見た事がある気がする。
もしかしてー…
すると私の近くで、血の嫌な匂いがした。
私の頭の中で嫌な妄想がよぎった。
私は恐る恐る顔を上げた。
すると
『見ちゃだーめ。』
そう言って男の子は私の後ろから目に手を伸ばし、見えないようにした。
『っ…。』
やはりあの血の匂いはー
『あんま考えない方がいーよ。大丈夫、大丈夫。』
やっぱり怪しい。この人は絶対自称菅原道真だろう。
『あ、あなた、確か菅原…道真さんだっけ。』
『?、うん。』
『菅原くん。何で私、ここに立てているんですか?』
『ゆーたい離脱だよ。歴史学校は、歴史人物の幽霊が通う学校。』
幽霊?
歴史人物?
色々とカオスなワードが沢山出てきた。
『それで、俺は歴史学校の案内人。だから今日、君に用があるっていったんだ。』
『はい?』
『私は、申し訳ないですが行けません。何故ならー…』
『じゃあ、君はあの空間に戻りたいの?』
あの空間…
『いや、それはー…』
『嫌なんでしょ。本当は。』
『浮世が嫌だったら、天界に逃げればいいよ。』
『…逃げてもいいの?』
『うん。別に逃げる事は悪い事じゃないよ。』
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