第0章:はじまりは突然に

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「心配すんなって。それからユキハを守るために俺らがいるんだからさ。んで、ひとまずここまでが俺たちの話だけど、ユキハと……そこの金髪のアホ毛、何か質問あるか?」 「アホ毛って……モノ先輩? に続いてマグナ先輩もそんな扱いすんの⁉ 俺はトウヤだ! 正直俺は頭がぐるぐるしてる。ユキハ、お前は?」 その言葉にユキハは強く目を瞑り考え込み、四人はその様子をまじまじと覗き込んだ。 そして数分経った後、覚悟を決めたのか目を見開き、四人を見つめ返す。 「先輩方のお話はわかりました。嘘もないんだと思います。でもなんで魔力もない、しかもトラブル生成体質の私がその証なんですか? ……しかも二年後には死ぬって」 その質問にマグナは先程装着していた覚醒具を肩から外しユキハの眼前に差し出す。 その白面には龍の顔が墨で描かれており、それに見つめられたユキハは息を呑んだ。 「そもそも魔力とか魔法ってのは別世界から来た獣騎士の特殊能力なんだよ。我が君が永い眠りにつかれた後、獣騎士達が後の世に眷属を作ったんだ。後の世に生まれる我が君を守るためにな。この世界の人間が魔力を持っているのは……まぁ、眷属作りの副産物みたいなもんで、それぞれの属性の獣騎士の血が混ざっているからなんだよ。例えば俺と同じ火属性の人間は、火の獣騎士:焔日の血を引いてるってわけだ。だけど、我が君だけは純血だ。だから、魔法を使えないってのが姫の生まれ変わりである証になるってわけ。……んで、次の質問だけど――やっぱこっからはお前に任すわ」  それを受けたアイリスはマグナの持つ面をそっと撫でる。
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