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「まずトラブル生成体質ですが、これは元々獣騎士の持つ特殊能力なんです。
我々獣にとってここは反転世界、長く滞在することはできません。そこで我が君にお仕えすることを条件に、反発する力の半分を姫に預けるという古の契約をしたのです。
その体質は元々地の獣騎士白虎のもので、主に害成すものを呪い殺すというもの。その力がユキハ様から溢れ出て無差別にトラブルを生んでいるのです。
そして短命、正確には心が枯れ廃人になるという物ですが、かつてその昔、この世界を守るために宿敵サタンから受けた【ヤドリギ】という魂の呪いのためです。
かつて全ての力を操ったエレナ様でもこの呪いだけは解呪できなかった。
ですがご安心ください。その呪いからあなたを守るために我ら四人、ここに参りました。どうか――」
「「「「どうか我らを御身の傍に――」」」」
片膝をつき頭を深々と下げる四人にユキハは一度言葉を飲み込むも、溢れ出る涙の粒と共に叫び声をあげる。
「わ、私が欲しいのは部下なんかじゃない! 私が欲しいのは、欲しいのは――」
そこまで言い放つと踵を返し町へ向かって走り去ってしまった。
四人はそれを追うことなく見守ると、マグナはガシガシと頭を掻くと胸ポケットから煙草を取り出し火をつけ、白い煙を深く吐き出す。
「流石にいきなりは重かったんじゃない?」
「心配か? カレン。まぁ、確かにいきなりはヘビィだったかもな。でも、それは遅かれ早かれだろ。俺達も行くぞ。モノ、ニオイを追ってくれ」
「お前らわかってない! ユキハのことほーんとわかってない!」
犬柄の面をつけたモノがユキハのニオイを感知していると、その空気を断ち切るかのようにトウヤは怒声をあげた。
その言葉にマグナは隠すことなく青筋を立て、煙草の火口をトウヤに向ける。
「へぇ? お前、トウヤって言ったっけ? お前にはユキハの気持ちがわかるってのか?」
「当たり前だろ。何年一緒にいると思ってるんだよ。あいつの事だ。あいつは部下なんて求めていない。特に自分のために身を尽くすような存在なんてな」
「じゃあ何を求めているってのさ」
モノの問いにトウヤは遠い目をし、小さくその口角をあげた。
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