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第1章:新入生クエストは波乱万丈⁉
入学式の翌日から学院では午前の四限は魔法について、午後の四限は武術についての座学が始まった。
特待生バッジを持つ手前、なんとなく他の生徒と混ざることに気が引けたユキハは、今日も魔法基礎についての講義をトウヤと並んで受けていた。
「本日は魔法の概要についてだったな。教科書四十ページを開くように。まず諸君の魔法に関する知識を問いたい。そうだな……ユキハくん答えなさい」
ユキハが過去に読み耽った本の記憶を探っていると、後ろの席の人が『ハイ!』と元気よく返事をし、ユキハの代わりに立ち上がった。
「魔法とは、自身に流れる魔力を方程式によって変換し、具現化させる行為のことを指します! そのために必要なものが領域展開です。これは自身の魔力で展開する世界のことを指し、魔法はこの世界の中でのみ使用できます。その為、魔法使いに求められる才能とは領域の純度の高さと、広さとも言えます」
「うむ……完璧な回答だな。だがマグナ、お前が何故そこにいる?」
「「マグナ先輩⁉」」
ユキハとトウヤの驚愕した声に、マグナはブイサインで応える。
まだ入学して数日しか経っていないが、マグナ・ゼロ・モノの人気は既に学院中に知れ渡っていて、講義室は大きな歓声に包まれた。
「お前ら、今講義中だから静かになー。んで、どうしてここにいるかだけど、これだよこれ」
そう言い特待生バッチを示すと教官は言葉を押し殺すしかなかった。
「心配すんなって。邪魔しに来たわけじゃねぇからよ。この後新入生クエストの話をするんだろ? それで来たってわけ」
そう言い席を立つとマグナは教官に代わり教壇の上に立った。
「授業の邪魔をしてごめんな。みんな知ってると思うけど、来週から新入生クエストが始まる。その為に毎年この時期に各学年二名ずつ、六人組のパーティを組むんだ。このパーティは三年間続くから慎重にペアを組んでくれ。パーティメンバーを確認したら、クエストを受注した後に帰宅すること。クエストまで講義はお休みだから、充分な準備をするんだぞ。……毎年、新入生クエストと卒業前クエストは国が多額の予算を割くから、報酬も期待してくれ。じゃ、解散」
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