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マグナが手を叩いたのを合図に後方の扉が勢いよく開かれ、上級生たちが一斉に流れ込んでくる。
最初こそ戸惑っていた一年生達だったが少しずつ緊張も解れ、談笑を交えながら新たなパーティが完成していった。
その様子をユキハとトウヤは呆然と見つめる。
「私も誰かとパーティ組めるのかな。でも魔法使えない人と組みたくないよね。足手まといだし」
「あ? 何言ってんだよ。ユキハ、お前は俺たちのパーティメンバーだぞ。あとトウヤ、お前もな」
「え、俺も? もう決まってる感じ?」
「ほう? 俺達とじゃ不服か? まぁ、冗談は置いといて、特待生であるお前らは同じ特待生の俺らと組むのが決まりなんだよ。言っとくけど、お前らと組みたいって奴ら結構多いんだぞ? 特に獣組はな。ほら、あっち見てみろよ」
マグナが指すその先には、半分塗りつぶされた龍の覚醒具をつけた赤髪の青年が鼻息荒くこっちを見ていた。
それを目撃した二人は体に緊張を走らせ身を固める。
「魔法使いにとって獣組は優秀な力を持ってるから憧れの存在で、獣組にとってユキハは絶対の存在だからな。だから、この学院内にいる以上お前を本気で貶す存在はいなんだよ。事実、うちの生徒がお前の悪口を言うことはないだろ?」
確かに、市街地ではユキハの真の姿を見せたあの日、魔法が使えないことがバレ一般市民から軽蔑の眼差しに晒された。
それにも関わらず、この学院内であれば誰もが自然に接してくれる、誰も馬鹿にすることはないことに今更ながら気づく。
「そうだ。ここではお前らしくいればそれでいい」
「ゼロ先輩……」
振り返ると、静かに寝息を立てるモノを背負ったゼロも来ており、ユキハは満面の笑みで頷いた。
「おう、ゼロも来たんか。で、俺達のクエスト内容聞いてきたか?」
「それなんだが」
そこで思い切り音を立てて扉が開かれ、カレンとアイリスが丸められた一枚の紙を持って駆けよってきた。
マグナが声をかけるも、息を切らし言葉にならない様子で、持っている紙を差し出す。それに目を通したゼロは静かに顔を顰めた。
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