第1章:新入生クエストは波乱万丈⁉

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「見せてみろ」 マグナはゼロから紙を奪い取ると、それに視線を落とす。 「えっと……何が書いてあるんですか?」 「俺達に割り振られたクエスト内容だ」 「は? マンティアコアの討伐だぁ? あのジジィ、耄碌してやがんな」 「そのジィ様が、『これは当たりであり外れのクエストだ』だってさ」 「なるほどねぇ。ユキハにトウヤ、準備はすぐできるか? 明日からクエストに入るぞ」 「まぁ、俺達は持ち物少ないしすぐ準備できるさ。な?」 ユキハがそれに同意したのを確認し、明日学院前で再集合するということで解散する流れになる。モノを連れたゼロとマグナは一早く退散し、アイリス達は残った二人を施設まで送るのだが、そこで二人をトウヤが呼び止めた。 「アイリス先輩。そのクエスト内容そんなマズいんすか?」 「マンティアコアは魔獣の中でも幻獣と呼ばれる括りにいます。物理攻撃は一切効かず、魔法にて対処する必要がありますね」 「まぁ、当たりで外れって言ったでしょ? 私達がいるからこんなクエスト当てたんだろうけど、同時に成長できるってことで二人にとっては当たりなんだよ。ま、あとは男三人に振り回されるって点が外れかな。その点もすごいからね、あの三人は。まぁ、今日はゆっくり休んでよ」 二人が帰路についたのを見送り振り返ると、瞳を金色に染め、宙を眺めるユキハがいた。 「……また、過去を探ってるのか?」 「マンティアコア。最上級魔獣。その爪は全てを切り裂き、有する毒針は全てを溶かす」 「ほら、力を使うのはそこまでだ」  額を軽く小突くと、ユキハは力の解放をやめ額を抑えた。 「い、痛いよ。だって、怖いし……」 「でもそれはしたらダメだって約束しただろ? 今日は早く寝るに限るな。ほら、入るぞ」 ユキハは渋々自室に戻ると、荷物を鞄に詰め床に着いた。  
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