第1章:新入生クエストは波乱万丈⁉

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翌朝ユキハは寝床を整え、床で眠るトウヤを起こしに向かう。 いつもは寝起きが悪いトウヤだが、緊張もあってか既に起床しており、白い学生服を纏っていた。 「起きたか? 準備ができたら行こうぜ! 先輩達を待たせるのもアレだしな」 「う、うん!」   ユキハも急ぎ身支度を整えると、二人は意気揚々と施設を飛び出した。 「ゼロ先輩⁉」 約束の時間より三十分程早く到着したのにも関わらず、既にゼロは到着し学生証を弄っており、二人の到着に気が付くと視線をあげた。 「二人とも早いな。ちゃんと眠れたか?」 「はい。ゼロ先輩も早いですね」 「少し気になることもあってな。だが、問題なさそうだ。俺は少し仕事があるからお前らはあいつらが来るまでゆっくりしてろ」   そう言いゼロは腰に差している伸縮性のある杖を取り出すと、二人は少し拓けた広場へと向かっていく。 二人はゼロが地面に何かを描いているのを遠目に見ながら他のメンバーが来るのを静かに待つ。 そうしているうちに約束の十分前には、明らかに眠そうなカレンを連れたアイリスが姿を現した。 「たく、まだマグナは来ないのか」   先程言っていた仕事が終わったのか、戻ってきたゼロはマグナとモノが居ないことに気付き辟易とした様子でため息をつく。 約束の時間から更に十分、眠るモノを結び付けた巨大なリュックを背負ったマグナが到着した。 「俺達が最後か。わりぃわりぃ。子犬ちゃんが駄々こねてな」 「はいはい、遅いのはいつものことだもんね。で、その荷物は?」 「食べ物と食べ物と食べ物だ。あ、あとゼロが忘れてた快眠グッズにモノのぬいぐるみな!」   マグナとゼロが揃って親指を立てるが、それを見たユキハ達は苦笑するしかなかった。 「そういえばヨハネの谷までゼロ先輩が転移で飛ばしてくれるの?」 「あぁ、陣は描き終えている。向こうだ」   ゼロが先程までいた場所へみんなで向かう中、トウヤは首を傾げユキハに問う。
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