第1章:新入生クエストは波乱万丈⁉

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「なんかさ、早くクエストに入ったのは俺達を育てるためなんだってさ! だろ? マグナ先輩!」 「ま、そういうこったな。折角特待生の特権があるんだ。利用しないと損ってもんだろ」 「特権?」 「特待生は最強であらねばならない。そのためならば、何でも許される。今回みたいに期間外でのクエスト実施だったりな。つまり、今回のクエストは内容達成と共にお前らの成長が目的なんだ。特にユキハ、お前だ。何かあればあいつらが刃にも盾にもなるだろうが、常にお前の傍にいられるとは限らないからな」 首を傾げるユキハに、マグナは淡々と説明を添える。 「そういうこった。ユキハに適する武器の選定と、初級レベルの魔法位はこの期間に使えるようにならないとな」 「え……でも、私は魔法を使えないって」 「ほら、言ったでしょ? 初代風の獣騎士の力がユキハの中に入ってるってさ」   先日カレンが言ったことを思い出したユキハは一気に表情を明るくさせ、トウヤの手を取り飛び跳ねてその喜びを露わにする。 しかしその様子を見たマグナは不服そうに口を尖らせた。 「もう話してるのかよ。ここでゼロが話して感激談に繋げる計画なんだぞ!」 「いやぁ、ユキハが髪色を気にしてたからさ」    そんな話は耳に入らない様子でゼロはユキハが大切に首にかけているペンダントを取り外すと、翡翠色だった宝玉は既に色を失っていた。 「この石は魔石だ。魔石の特性は知ってるか?」 「魔石って確か封印能力を持つ石ですよね。封印できる量や種類は、魔石の質によって異なって、魔力や魔法の術式を封じることで、魔法や魔力を共有できるっていうとても希少価値の高い石……」   まるで教科書に記載されているような模範解答に、流石のゼロも驚きを隠せずにいた。 「その通りだ。なるほど、それが絶対記憶という奴か」   まじまじとユキハの瞳を覗き込むゼロとマグナの間に、トウヤは咄嗟に間に入り込み話をごまかそうとするが、一瞬見せたユキハの瞳の変化は隠しきれず、マグナは満足気に頷き、アイリスとカレンは歓喜の声をあげユキハに抱き着いた。
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