第1章:新入生クエストは波乱万丈⁉

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「まずは、概要を話す。その後の実践はお前ら二人でトウヤを見てやれ。さて、確認ついでに復習だ。魔法というものは何たるかを知っているな?」 「はい、領域を展開させ、その中で自身の魔力を方程式を用いて具現化させることです。だから、同じ方程式でも、魔力の属性によって効果も異なります。そして魔法を習得するためには領域展開を身につけ魔法の方程式を理解し、変換方法を身に着ける必要があります。領域自体の強度を上げ、その範囲を広げていくことが魔法習得、および強化につながっていきます」 ユキハが出したその解に、ゼロは満足気に頷いた。 「なるほど。姫の能力を使わず模範解答を導き出すか……ユキハは優秀だな。少し補足するぞ。魔力の属性は火・風・水・雷・地があり、火は風に強く、風は雷に強い。雷は地に強く、地は水に強い。そして水は火に強いという感じに属性によって優劣があるんだ。また、この属性は領域と髪色にも影響している。火属性の者は、赤髪を有していて、赤い領域を展開するようにな。訓練を積むことで、人によっては特殊領域を使えるようになったりするが今回は忘れていい」   二人がメモを取りながら集中して説明を聞いているのを確認し、本題を話し始める。 「今回、二人にはこの一週間で中級魔法を習得してもらう。具体的には『領域変動』と『魔力付与』だ。領域は基本的に発動した場所から動かせない。それは、発動場所が起点となっているからだ。それを土地ではなく自分自身に設定すれば領域は自分の動きに合わせて自然に変動する。それが領域変動だ。これができるようになるとより臨機応変に魔法が使えるようになるから、戦闘能力が格段に上がる。魔力付与はその名の通り武器や身体に魔力を込めることを指す。これができれば、武術での戦いに有利になるな。長くなったが以上が今回学ぶ内容となる。これで二人の力は一気に飛躍する」 「おおおおおお! 俺、強くなれる⁉」   ギラギラと輝かせるトウヤとは真逆で、どんどんと元気がなくなるユキハの肩にアイリスとカレンはそっと手を乗せるが、それでもしょぼくれていくユキハに見かねたゼロは、少しだけ表情を崩し頭を撫でた。 「なんでも一人で抱え込むな。その為に俺がいるんだ」 「え?」   ユキハが顔をあげた時にはゼロはいつもの表情に戻っており、アイリス達に今後の流れを説明する。 「よし、ユキハ。俺達は向こうで練習するぞ」 「ではトウヤさん。私達はあちらで」   トウヤはユキハの肩を軽く小突いた後二人に着いていき、ユキハもまたそれで覚悟が決まったのか小走りでゼロの後をついていくのであった。
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