第1章:新入生クエストは波乱万丈⁉

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「さて、何から始めるか……」   そう呟きながらもゼロの中では既に計画があるようで、鞄から筆記用具一式を取り出し、さらさらと文様を描き始めた。 「お楽しみは最後にするとして。いいか? 自分は魔法が使えないという認識は今すぐ捨てろ。今やお前は他の一般人と変わりない。それどころか」 「それどころか?」   心配そうにこちらの顔を覗き込んでくるユキハにゼロは笑いを噛み殺した。 「お前にはもっと面白い話をしてやろう。あいつらも知らない話だ。まずは座れ」   ユキハを隣に座らせると、説明を再開した。 「あいつらが言ってただろう? 風の獣騎士の力がお前に流れていると。あれは嘘だ」 「えぇ⁉」 「流れているなんてものじゃない。烈風の魂は今ユキハの中に帰還している。つまり、烈風自身が持っていた力を持っていると言っても過言ではないんだ。……烈風の力は他の獣騎士達と比較にならない程強力でな。姫が逝った後世に力を残す時、烈風はその力を人間達に渡し、魂は魔石に封印することで、遠い未来姫の生まれ変わりの中で生きることを決めたんだ。その大願がやっと叶った。目を閉じて静かに自分の中の力に触れてみろ。命の息吹を感じるはずだ」   ユキハはそっと目を閉じ、自身の胸に両手を添える。すると、金色に輝く温かい光の隣で丸まって眠る純白の鳥の姿があり、それに驚き目を開ける。 「視えたようだな。それが風の獣騎士、烈風だ。まだ、ユキハは獣として覚醒はしていないから覚醒具は生まれないが、潜在能力はあいつら以上ってわけだ。どうだ? 少しはやる気が出たか?」   ゼロは先程書いていた紙を手渡し、ユキハはそれに応えるように力強い眼差しを向ける。 「これは、方程式ですか?」 「そうだ。いくら魔法を操ることができるって言っても方程式の解読ができないと話が始まらないからな。だからお前は最初の三日間は解読の練習だ」
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