第1章:新入生クエストは波乱万丈⁉

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一方アイリスは事前にマグナから預かっていた領域変動の方程式の紙をトウヤに渡す。 「練習用にいくつか術式を組んでもらってます。三日である程度の成果が出なかったら、マグナに指導を変わりますね」 「術式を組んでるって……え? もしかして、マグナ先輩って賢者なの⁉」 「え……っと。うん。マグナは賢者だよ。てか、あたし達はみんなそう」 「はぁぁぁぁぁ⁉」   魔法とは既存の方程式に魔力を流すことにより効果が出現する術式である。 重要なのはこの方程式の存在で、方程式とは古代に生きた初代獣騎士が残したものにすぎない。 しかし、様々な奇跡が重なり、現代でもこの方程式を縦横無尽に組んだり、組み直したりできる人間がいるという。 それらをまとめて【賢者】と呼び、自己の属性を越えて操れる存在を【大賢者】と呼ぶのだが、賢者は国単位で見ても希少の中の希少な存在、大賢者に至っては最早幻の存在のため、目の前のやり取りにトウヤは驚きを隠せない。 「そうですね。失念しておりました。我々は魔法を生み出した獣騎士の生まれ変わりですから、術式を思い通りに使えることは当然のこと。ただ、所属属性を越えて操れるのはマグナだけですわ。大賢者の存在は火の一族の中でも極めて稀だと聞きます。ちなみにゼロ先輩もその素質を有しておりますわ」 「マグナ先輩とゼロ先輩は大賢者⁉ なんだよあの二人、化け物かよ」 「あっはっは、そう思うよねぇ。ま、そう言ったら獣のあたし達もだし、姫の力を持つユキハ、そしてユキハの付き人のトウヤも……でしょ?」              「ははっ、だな。さ、俺達も始めようぜ。俺は強くなりたい。ユキハを守れるように」 「それは私も同感です。さぁ、方程式の解読から始めましょう」
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