第1章:新入生クエストは波乱万丈⁉

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「いいか。風は全てを創造し、そしてすべてを無に帰す。だからこそ、無限の可能性を秘めた属性だ。さぁ、目を開けろ」   領域の外は昼だというのに夜空が広がり、無数の流れ星が降り注ぐ。 そして、手元では蛍が舞を踊り、綺麗な花々が咲き乱れたそれはまさに、ユキハが夢見てきた魔法の可能性そのもので、キラキラとその目を輝かせる。 「これが魔法という力が持つ可能性だ。これからお前は様々な魔法に触れていくことになる。時に絶望を覚えることもあるだろう。だがユキハ、お前がその可能性を忘れなければ、無限の可能性を持つ力となることを忘れるな」   力強く頷くユキハに満足したゼロはその手をユキハから離す。すると、領域は解除され目の前に広がっていた楽園は消失していった。 「どうだ? 初めて使った魔法の感想は」 「正直少し心地悪かったです」 「フッ、だろうな。力を他者にコントロールされるというのは気持ち悪いもんだ。だが、当面はそれに我慢してもらうことになるが」 「そういえば何故私は魔法を使えたんですか?」 「俺はこうやって触れた相手の魔力を操作することができる。もっとも、その為にはその相手が方程式の解読ができることが条件だけどな。さっきのはユキハが解読し、それに合わせてユキハの魔力を操作した。これを繰り返して、魔力の変換を体に覚えさせる。どうだ? わくわくしてきたか?」 「はい! よろしくお願いします」   こうしてユキハの覚悟と共に、ゼロとの魔法特訓第二ラウンドの火蓋が落とされた。
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