第1章:新入生クエストは波乱万丈⁉

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「我が身に雷神の力舞い降りて、雷の神速ここに得ん。コンバルト」   トウヤの武器であるグローブに落雷し一瞬雷が灯るも、それは一瞬消滅してしまう。 「定着、しませんでしたね」 「くっ……」   修行を開始して早三日、寝る時間も惜しんでトウヤは魔力付与の練習を繰り返していた。 その結果、自力で発動までたどり着いたものの、術の効果定着まで至らずにいた。加えて常時魔力不足状態も重なり、その場に倒れこんでしまう。 それをカレンは慣れた手つきで支え、そしてその場に寝かせた。 「この辺が限界だね。ユキハに対する想いでぎりぎり繋がってるようなもんだよこれ」 「そうですね。今日が期限ですし向こうの様子を見てきます。トウヤさんをお願いしますね」   そう言い立ち去ろうとするアイリスの腕を、トウヤは咄嗟に掴んだ。 「トウヤはもう少し寝てた方がいいよ」 「いや、俺も行く。ユキハに三日会ってないんだよ。あいつが心配だ。……くそっ。動け、動け」   気持ちばかり逸り思い通りに体が動かないことに、イラつきを隠すことなく地面を叩く。 その様子を見たアイリスは覚醒具を着け、トウヤの体を抱き上げる。 「では、私がお連れ致します。カレンさんもご一緒に」 「さんきゅ。じゃ、お願いするよ」   アイリスは、もう一方の手でカレンの腕を掴むと、トウヤの体に響かないよう慎重に飛んでいった。 「えっと……」 「ゼロ先輩、先輩がまさか……」   三人がユキハ達の元へ到着すると、そこにはゼロの胸元で泣き疲れて眠るユキハがいた。
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