第1章:新入生クエストは波乱万丈⁉

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「待て。どうやら定着で困っているようだな。ユキハと同じように一度体験させてやる。俺に背を向けて座れ」 「……ゼロ先輩、俺が困ってることなんで知ってるんすか?」 「練習するならさっさとしろ」] ご機嫌斜めなゼロに、それ以上問い詰めることなく慌ててゼロの前に座った。するとゼロはユキハにしたように、その背に手を添えた。 「まずは領域展開だ」 「領域展開:紫電万雷」   トウヤはいつものように領域を展開するのだが、ゼロがより効率よく操作しているからか展開してもやけに体が軽い。 「さぁ、次は魔力付与だ」 「『我が身に雷神の力舞い降りて、雷の神速ここに得ん』」   トウヤのグローブに落雷し、純白の光が鋭い雷爪を形成していく。 「これが俺の魔力付与……」 「そうだ。この感覚を覚え、具現化しろ。ユキハは既に定着までマスターしているぞ」   その一声に三人は驚愕して一瞬言葉を失う。 「ユ、ユキハまだ武器持ってないよな……? なのにもう魔力付与?」 「別に武器にしなければいけないという決まりはないからな。練習ではその辺の枝に魔力付与させた」   ユキハの進捗に、トウヤは再度熱が入ったようで、先程の場所に意気揚々と戻ろうとするが、それを再びゼロは引き留め、勢い余ってトウヤは転んでしまう。 「もうなんなんすか!」 「先にユキハの武器の選定だ。そろそろ持たせてもいいだろう。もうすぐマグナ達も戻ってくるからここにいろ」   その言葉に三人は目を輝かせ、どんな武器がユキハに似合うか和気藹々と語りあい始めた。 既にゼロはマグナに連絡を送っていたようで、三十分程経過した後、マグナはモノを連れ戻ってきた。ゼロの元で眠るユキハを見た二人もまた必要以上の反応を見せた為、ゼロは改めて説明するのかと思わせて、二人に対しては拳骨で話を納める。 その振動が届いたのか、ユキハは目を擦りゆっくりと体を起こす。 まだ脳はねむっているようで、ぼんやりと周囲を見回した。
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